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2024年4月5日

小中学生の筋トレ、どんなメリットがある?身長が伸びなくなるってホント?専門家が解説 (2/3)

理由の多くは「成長を止めてしまう」「筋トレによって関節を痛める」など、子どもの成長に悪影響を与えるとされる情報が広がっているためです。

たしかに大人のようにハードな筋トレを行っても、効果が薄かったり、カラダを痛めやすいという問題はあるかもしれません。

しかし筋トレによって成長が止まることはなく、むしろ運動によって成長ホルモンの分泌が促されるというメリットの方が大きいのです。

関節のケガについては、子どもの成長に合ったメニューを、正しい動作で行わせることが大切です。世界で活躍するトップアスリートが行っているメニューだからといって、そのままメニューを真似するなど、無理なトレーニングを行うとケガに繋がってしまうでしょう。

ところで、子どもの頃から筋トレすると身長が伸びなくなるという噂がありますが、本当でしょうか。

子どもの頃から筋トレすると身長が伸びなくなるってホント?

アメリカ・カリフォルニアで子どもへのコーチ指導を行う角谷剛さんは、自身の教育経験からこう語ります。

「背が伸びなくなるから、ウチの子には筋トレをさせないで」

これは、子どもを入会させるために連れてきた保護者から、筆者が実際に言われたことがある言葉です。クロスフィットでは、バーベルやダンベルなどを使った筋トレのほかに、走ったり跳んだり、鉄棒やリングなどを使った体操競技のようなエクササイズも行っています。そのため、筋トレ以外のことだけをやらせてほしいということでした。

この人に限らず、子どもが筋トレをすると背が伸びなくなるという説を信じる人は日本では多いでしょう。実際、アメリカでもけっして珍しくはありません。

結論から述べますと、筋トレを正しい方法で行えば子どもの成長を阻害することはなく、むしろ逆に成長を促す効果があります。さらに運動能力を高めて、怪我をしにくい丈夫な体作りに役立つでしょう。

確かに、やみくもに重い重量を担がせるようなエクササイズは成長軟骨に強い負担がかかり、成長を阻害する可能性があります。特に、スクワットのような上下方向の動作には注意が必要です。そのため、私たちのジムの子どもクラスでは、筋トレは自重のみかごく軽い重量で行っています。

余談になりますが、私の身長は160cmで日本人としても小柄。米国社会ではさらにその背の低さが際立ちます。コーチである私を見て、「ウチの子も背が伸びなかったらどうしよう」という不安を持ってしまう親御さんもいるかもしれません。ですので、よく次のように伝え、笑いをとると同時に安心してもらっています。

「私が筋トレを始めたのは30歳を過ぎてからです。子どもの頃にやっていたのは野球とサッカーです。筋トレをやったから背が低いのではありません」

「子どもの頃から筋トレすると身長が伸びなくなる」って本当?トレーナーが解説 より

子どものうちは自重トレーニングがおすすめ

実は、赤ちゃんが大泣きしたり、ハイハイする動作も、筋力を鍛える動きの一種です。筋トレというと、ダンベルやバーベルなど重りを持って行うウエイトトレーニングが一般的ですが、子どもが行う場合は、自重トレーニングがオススメです。

自重トレーニングというのは、自分の体重を負荷にして行うトレーニング方法のこと。年代別に適したトレーニング内容を見ていきましょう。

幼児期

幼児期は、とにかくたくさんカラダを動かして遊ぶことが大切。遊びが筋トレになっているのです。

すべり台やジャングルジムを登り降りすることで、手や足でカラダを支えたり、バランスを取るなど、さまざまな姿勢で手足を思い通りに動かすことを学びます。そこから自分のカラダを自由に動かす能力「巧緻性(こうちせい)」が身についていきます。

また、運動遊びを通じて社会性を身に着けることもできます。

運動遊びは、発展してくるとルールが必要になってきます。そのため、遊びの中で社会性を学ぶことができるのです。ルールを守ったり、順番待ちの我慢ができるようになったり。こういったことを、運動遊びの中で学べます。結果、癇癪を起さずに我慢できたり、話を聞けるようになったりしていくのです。

「運動遊び」が子どもの発達や健康のカギを握る4つの理由 より

ケンケンパや鬼ごっこ、縄跳びなどもオススメです。いろいろな遊びを行わせてみましょう。

小学生

小学生、とくに低学年の頃は「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、運動に関わる神経系を発達させる重要な時期です。筋力トレーニングの効果はまだ低いものの、今後のスポーツ活動においての動作習得のひとつとして、筋トレをとり入れることは有効と言えるでしょう。

低学年は骨や関節の影響も考えて、座位や寝た姿勢で行える簡単な筋力トレーニングを行いましょう。そして高学年には、腹筋運動など動きのあるトレーニングをとり入れてください。

中学生

中学生は、身長や体重が急成長する時期です。急にカラダが大きくなり、運動の強度も上がります。筋力トレーニングを行うことで自身のカラダを支える力が身につき、ケガを予防することができます。

大きくカラダが変化する時期なので、トレーニング内容は細かくチェックし、無理のないようにメニューを組み立て直す必要があります。また、成長の個人差が大きいため、チームで筋トレを取り入れる場合には、各選手の負荷設定にも注意してください。

この時期は、まだ高重量のウエイトトレーニングは必要ありません。自重トレーニングや、軽めのダンベルを使った筋トレを中心にメニューを作りましょう。

高校生

身長や体重の急成長が落ちついてきて、­筋肉の発達が著しい時期になります。この頃から、マシンやダンベル、バーベルなどの用具を使ったトレーニングをとり入れてみましょう。

筋力や運動のパフォーマンス向上につながっていきます。正しい動作を身につけながら、負荷を高めていきましょう。

次は、どの年代の子どもにもオススメの筋トレメニューを紹介します。

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