インタビュー
2022年11月15日

中学で寮生活をスタート、「私、何しに来たんだろう」と思う日々を乗り越えた 元バドミントン日本代表・髙橋礼華(後編)|子どもの頃こんな習い事してました #33 (2/2)

娘にはバドミントンではなくスイミングを習わせたい

――2022年2月に第1子を出産し子育て中ですが、将来、我が子にバドミントンをさせたいという思いはありますか。

いや、まったく思わないですね、練習はきついし、けがも多いし。やっても楽しむ程度でいい。「オリンピックに行け」とか「日本代表になれ」とかは思わない。私も旦那さんも日本代表として活動している分、「二世」と言われてしまうこともわかっているので。

――では、他に何か習わせたいことはありますか。

競技まではいかなくていいけど、水には慣れてほしいのでスイミングは習わせたい。また、「親子バドミントン教室」の講師をしていたときに「親子で一緒にスポーツをするのっていいな」と思ったので、娘と一緒に何かしたいですね。バドミントンは私がガチになっちゃうので(笑)、今までやったことのない違うスポーツを体験してみたいです。

――具体的にどんなスポーツですか。髙橋さんがしてみたいスポーツは?

私はバレーボールを見るのが好きなので、バレーボールをやりたいですね。ボールが大きいものがいい。旦那さんは野球やサッカーが好きなので、一緒にバッティングセンターに行ったことがあるんですが、全然当たらない。小さいボールのスポーツは下手なんです。卓球も同じラケット競技なのにめちゃくちゃセンスないですし。冬のスポーツもやってみたい。現役時代はスキーやスケートはけがが怖くてやったことがなかったので、娘と一緒に楽しんでみたいですね。

娘のために、苦手な解説も克服しようと思うように

――夫の金子祐樹選手もバドミントン日本代表で遠征も多く、子育てはほぼワンオペだと聞きました。大変ですか。

実はワンオペの方がラクです。今は夜泣きはしませんが、新生児の頃は夜中も2、3時間ごとに起きて泣いていて、隣にいる旦那さんが気づかず寝ていることにちょっとイラッとしてしまって。「なんで手伝ってくれないの?」という気持ちもあるし、でも私も選手だったから旦那さんがすごく疲れていることや明日の練習のためにしっかり休まなきゃいけないこともよくわかるので葛藤がすごくありますね。

食事も旦那さんが家にいるときは気をつけなければならないのが大変で。私だけなら今は買ったもので軽く済ませてもいいので、ワンオペはたいへんな面もありますが、いろいろ気にせずにいられるというところもありますね。

――お子さんが生まれたことによって、バドミントンに対する考え方や生き方の姿勢が変わったことはありますか。

あります。ちょっといやらしい話ですが、今までは「自分で稼いだものは自分のもの」でしたが、娘が生まれてからは娘のことを一番に考えて生活するようになりました。私は解説が苦手なんですが、娘のために苦手なことを克服してチャレンジしていこうと思うようになりました。

――子育てをしながら、バドミントンのイベントなどのお仕事もされていますね。

 先日もお母さんに娘の面倒をみてもらい、産後初めて泊まりで仙台のイベントに出ました。コロナ禍で減っていたイベントやバドミントン教室が少しずつ戻ってきているので、どんどん参加していきたいですね。

――将来の夢はありますか。

あります。夢ってほどでもないんですけど、まず普通のお母さんをしてみたいです。公園に行ってママ友とおしゃべりもしてみたい。バドミントンは、引退直後は「もうガッツリ関わらなくてもいいかな」と思っていましたが、東京オリンピックでちょっと残念な結果になってしまったこともあり、ジュニア世代の選手を育てていきたいという思いを持つようになりました。それから、バドミントンとはちょっと違う仕事もやっていきたい。

――どんなお仕事ですか。

それはまだ言えません(笑)。

[プロフィール]
髙橋礼華(たかはし・あやか)
1990年、奈良県生まれ。6歳からバドミントンを始め、中学は聖ウルスラ学院英智中学校(宮城県)に進学。高校時代に1学年後輩の松友美佐紀選手とダブルスのペアを組み、「タカマツペア」として引退まで活躍。2009年に日本ユニシスに入社。2016年のリオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得。2020年引退し、同年バドミントン選手である金子祐樹選手と結婚。2022年、第1子出産。

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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