
お尻(大臀筋)の筋トレ11選&鍛え方[トレーナー解説] (3/3)
ヒップスラスト
1. イスに背中を軽くもたれさせる。膝を曲げ、足は腰幅に開く
2. 肩・腰・膝が一直線になるようにお尻を持ち上げる
3. ゆっくり元の姿勢に戻る
動作はヒップリフトと似ていますが、こちらは重りを使用することで強度が高まります。
ダンベルやペットボトル、本などを太ももの上に乗せて行うと、負荷が高められるでしょう。
動作中は、腰を反らさないように注意しましょう。お尻への負荷が少なくなるだけでなく、腰を痛める原因にもなります。
お尻を上げるときは、正面を見るようにあごを引くと、腰の反りを防ぐことができます。ヒップリフトと同様、お尻を持ち上げたとき、ギュッと締めるように意識しましょう。
サイドレッグサークル
1. 横向きになり、下側の手は頭の横につけ、上側の手は胸の前で地面を押すようする
2. 上側の足で、大きく円を描きながら足を回す
3. この動作を両足で行う
横向きの姿勢で足を回し、お尻の筋肉を鍛えていきます。できるだけ大きくダイナミックに回すのが、効果を高めるポイントです。
サイドウォーク
1. 肩幅よりも少し足を開いて立つ
2. 背筋を伸ばしてお尻を突き出す
3. 膝を軽く曲げながら、横歩きで左右に移動する
サイドウォークは臀筋群全体を刺激します。上半身の姿勢が崩れたり膝や股関節がまっすぐに伸びてしまうと、お尻への負荷が掛かりません。
姿勢を変えず、ただ横に動くということを意識して行いましょう。
ファイヤーハイドランド
1. 四つんばいの姿勢になる。つま先は地面につけておく
2. 角度を変えないよう、片ひざを真横に持ち上げていく
3. 元の姿勢に戻る
ファイヤーハイドランドは、おもに中臀筋を鍛えるエクササイズになります。脚を上げたとき、カラダが捻じれて左右の肩の高さが変わってしまわないようにしましょう。
脚を高く上げる意識よりも、姿勢を崩さず股関節だけを真横に動かすような意識で行ってください。つま先の向きも変えないように注意します。
ワイドスクワット
1. 足を肩幅よりも広めに開き、つま先を外に約45度向ける
2. 腰をゆっくりと下げていく
3. 太ももが床と平行になるまで下げたら、元の姿勢に戻す
大臀筋だけでなく太ももの筋肉「大腿四頭筋」や内ももの筋肉「内転筋」なども鍛えることができます。しっかりとお尻を下ろすのがポイントです。
ライイングツイスト
1. うつ伏せになる
2. 片足ずつ反対側へ、捻るように上げていく
体をひねりながら足を上下させることで、大臀筋にしっかり効かせていきます。お尻を引き締めてスッキリさせたい方におすすめのトレーニングです。
バックキック
1. 手と膝を付いて、四つん這いの姿勢を作る
2. 片方の膝を伸ばしながら、片方の足を後方へ蹴り上げる
3. 膝が床に付くギリギリまで降ろしていく
後ろに蹴り上げることで大臀筋を鍛える「バックキック」。足を大きく動かして、しっかりとお尻の筋肉に刺激を与えていきましょう。
サイドキック
1. 肩幅よりも少し広めに足を開く
2. 膝を曲げて腰を落とす
3. 体に対して真横へキックする
4. 左右交互に繰り返す
立った姿勢から横に蹴り上げる「サイドキック」。バックキック同様、大きく蹴り上げてお尻の筋肉をしっかりと動かしていきましょう。
リバースプランク
1. 仰向けの状態になり、肘を肩の真下に置いて上半身を持ち上げる
2. かかとで支えながら足を伸ばし、下半身を持ち上げる
3. そのままキープする
お尻を持ち上げると同時に、きゅっとお尻を締めるのがポイント。効かせたい部位にしっかりと力を入れていきましょう。
片手片足ストレートキープ
1. よつんばいの姿勢になる
2. 姿勢をキープしたまま、対角にあるに手と足を伸ばしていく
3. 左右交互に行う
背中の中央にある筋肉「脊柱起立筋」から大臀筋、中臀筋と体幹を構成する筋肉の多くを鍛えることができるメニューです。バランスを崩さず、しっかりキープして行いましょう。
お尻の筋肉「臀筋群(でんきんぐん)」とは
お尻の筋肉は「臀筋群(でんきんぐん)」と言い、いくつもの筋肉で構成されています。
- もっとも表面にある大きい筋肉「大臀筋(だいでんきん)」
- 深部にある「中臀筋(ちゅうでんきん)」「小臀筋(しょうでんきん)」
- 股関節の動きをコントロールする「梨状筋(りじょうきん)」
これらがお尻の代表的な筋肉です。
お尻の筋肉(大殿筋)を鍛えるメリット
姿勢をよくし、脚を長く見せる
お尻は「抗重力筋」のひとつ。抗重力筋とは、立っている時に重力に負けないよう対抗して働く筋肉です。その抗重力筋が弱ると、姿勢が重力に負けて崩れることになります。
たとえば、猫背で姿勢の悪い人は、頭が前に出て、バランスを取るために腹部とお尻を前に出しがちです。その姿勢ではお尻の筋肉が垂れ、脚が短く見えてしまうのです。
脚の長い人は姿勢がいい理由は、ここにあります。
基礎代謝の向上
カラダ全体で見ても、大きい筋肉は下半身に集中しています。
お尻の筋肉「大臀筋」はもちろんのこと、太ももの前の筋肉「大腿四頭筋」や、ふくらはぎの筋肉「下腿三頭筋」、太ももの内側にある「内転筋」、太ももの裏の筋肉群「ハムストリングス」なども大きい筋肉です。
大きい筋肉が多いということは、トレーニングによって消費されるエネルギーも多いということ。
また、トレーニングによって筋肉量が増えれば基礎代謝も高まり、太りにくく痩せやすいカラダになることができるでしょう。
結果、ダイエットを効率よく進めることもできます。
スポーツパフォーマンスの向上
多くのスポーツ競技で、ジャンプ力は成績を左右する重要な能力のひとつです。そのため、「もっと高く跳べるようになりたい」と思っているアスリートは多いでしょう。
しかし、いったいどうすればジャンプ力を鍛えられるのか。それは「お尻の筋肉の強化」です。
高く跳ぶためには膝の曲げ伸ばしの力よりも、股関節の曲げ伸ばしの力を使った方がはるかに強い力を発揮でき、高く跳ぶことができます。
お尻の筋肉である「大臀筋」は股関節を伸ばす働きを持ち、大きな力を発揮できる筋肉なのです。
坐骨神経痛の症状を抑える
また、坐骨神経痛の症状にも、お尻の筋肉が関係しています。お尻の奥にある梨状筋(りじょうきん)という筋肉が固まると、そのすぐ下を通っている坐骨神経を圧迫します。
すると、お尻・太もも・ふくらはぎ・足先のいずれか、もしくは複数や脚全体に、痺れや痛み、張りといったような症状が出ることになるのです。
特に、長時間座っている人や運動不足の人は注意が必要です。
このように、お尻の筋肉は見た目のプロポーションに関わるだけでなく、健康にも関係する筋肉です。
そんな大殿筋を効率よく鍛えるために、どんなルールがあるでしょうか。
お尻を効率よく鍛える共通ルール
慣れてきたらトレーニングメニューを変える
ひとつの部位を鍛えるのに、同じ筋トレばかりしていては、刺激に慣れて効果が低下します。
楽にできるようになってきたら、トレーニングの原理原則に基づき、筋肉への負荷を高めてみましょう。そうすることで筋肉をより成長させることができます。
日常生活以上の負荷をカラダに与えなければ、トレーニングの効果は現れません。これを「過負荷の原理(オーバーロード)」といいます。また、トレーニングをしていてもいつも同じ負荷では、カラダが刺激になれてしまうため効果が現れにくくなります。カラダに変化を出すためには、つねに負荷を高めていくことが必要です。
筋トレ効果を引き出す「トレーニングの3原理&5原則」とは より
“トレーニングの種類を変えてみる”というやり方も効果的です。
動作をゆっくり行う
動作スピードによっても負荷を変えることが可能です。
ゆっくり動作を行う「スロートレーニング」は、3~5秒程度かけてカラダを動かし、3~5秒かけて元に戻るやり方です。
筋肉や関節などに対するケガのリスクが低くなる、筋肉を太くする効果が高いというメリットもあります。自重トレーニングで負荷が低いと感じる人は積極的に取り入れましょう。
トレーニングバンドなどで負荷を高める
トレーニングバンドやウエイトリスト、メニューによってはダンベルといった重りを装着して動作を行うと、負荷を高めることができます。
筆者プロフィール
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師のほか、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、さまざまなメディアで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)の認定トレーニング指導者
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<Text:和田拓巳>