効率よく疲労回復できる眠り方「濃縮睡眠」とは。“理想の睡眠時間”に惑わされない!(前編) (2/3)
ポイント2 血流の改善
次に、血流の改善。肩甲骨ストレッチによる姿勢のケアがおすすめです。背中の筋肉や肩甲骨まわりをゆるめていきます。
睡眠ホルモンのメラトニンを分泌するための栄養を摂るのもおすすめしています。タンパク質(トリプトファン)、マグネシウム、鉄、ビタミンB6、抗酸化食品です。
ポイント3 睡眠環境の整理
寝る前の“ブルーライト”は睡眠へのリスクが大きいです。そして“枕”。あとは“ほこり”も睡眠の質に影響しますので、床掃除をおすすめしています。
──上記3つ以外にも、行うとよいことはありますか?
朝のウォーキングや、寝る前90分前の入浴、ストレスケアとして“感謝ワーク”を行うこと、それからパワーナップ(仮眠)でしょうか。起床時間を揃えるなどもおすすめしています。
──いま教えて頂いたことを続けてみて、「濃縮睡眠」ができているか、どのように確認するとよいでしょうか。チェック方法を教えてください。
分かりやすいのは睡眠アプリでの計測です。入眠や覚醒のタイミング、回数など睡眠状態をくわしく計測していきましょう。
朝の目覚めの状態と日中の眠さも目安のひとつです。
──睡眠アプリのデータと体感、どちらを信じればよいでしょうか? 寝起きが良くなかったときでもデータ上では良い数値が出ていることがあります。
基本的には体感を重視してよいのかなと思います。そのときの睡眠ログはよくても、溜まっている疲れはとれていないという可能性があります。
朝眠いというのはさまざまな理由が考えられるので一概には言えないのですが、少なくとも起床後スッキリせず眠気が続くというのは、そのときの睡眠に問題があったというより、そもそも脳疲労が溜まっていて、まだまだ解消できていないという状態かもしれません。
逆に、睡眠データはあまり良くなかったけれど、めちゃくちゃスッキリ起きることができたときは、それだけで1日の幸福度が上がるという研究結果もありますよ。
──ショートスリーパーの人は「濃縮睡眠」ができているということでしょうか? 違いがあれば教えてください。
私の定義では、ショートスリーパーは遺伝子的に短い睡眠時間が適している人を指します。全体における割合は5%程度とも言われていますね。生まれ持った特異体質なので、「ショートスリーパーになる」というのは難しいのではないかと考えています。
私の提唱する「濃縮睡眠」は、質の良い睡眠をとることを基本としています。睡眠負債を抱えている、いわゆる質の高い睡眠をとれていない人が実践することで、短い睡眠時間ですっきり起床できたり、逆に今まであまり眠れなかった人はぐっすり眠れるようになるなど、自分にとって最適な睡眠が行えるようになります。
──ところで……夜10時に眠ると成長ホルモンが分泌されやすいという「睡眠のゴールデンタイム説(シンデレラタイム)」は、なぜ生まれたのでしょうか? 近年まで信じられてきました。
はっきりと分かっているわけではないのですが、こうじゃないかと言われている説はあります。