アイスバス(氷風呂)の効果と入り方。温度や浸かる時間は。疲労回復や筋肉痛対策になる? (2/2)
アイスバスを行うときの注意点
それでは、どのようなことに注意すべきなのか。ここでいくつか解説しておきます。
水温を下げ過ぎない
11度以下にならないよう注意しましょう。
足の指先が冷え過ぎないように工夫する
靴下を履いてもいいですし、足先をときどき水から出してもかまいません。
10分以上は浸からない
特に慣れていないうちは3~5分から始め、徐々に浸かる時間を長くしましょう。
体温で温まった水を体から遠ざけるため、できれば水流があった方がよい
専門のアイスバスには撹拌機能があります。あるいは、流れのある川に浸かるのもよいでしょう。
アイスバスの後で体を急激に温めない
タオルで体を拭き、自然に体温が通常に戻るのを待ちます。温水シャワーを浴びてもかまいませんが、温度はぬるめにしましょう。
軽い運動程度のときはアイスバスの効果は薄い
激しい運動を行った直後だとアイスバスの効果は大きいですが、軽い運動程度ではアイスバスの必要性は低くなります。
アイスバス(氷風呂)は多くの有名選手も行っている
クロスフィットの世界大会クロスフィット・ゲームズで4連覇を成し遂げ、今でも伝説的な存在となっているリッチ・フローニングは、アイスバスに浸かりながらインタビューに答えることもありました。
クロスフィットの大会では数日間に渡り、しかも1日に複数の競技を行うことが普通です。そのため、大会期間中いかにして体力を回復するかということが、競技成績を上げるために重要な要素になります。
大会会場の脇にアイスバスが設置され、ひとつの競技を終えた選手がアイスバスに飛び込み、次の競技までに回復を図る姿は、クロスフィットではおなじみの光景です。
すでに引退しましたが、女子マラソン世界記録(2003年、2時間15分25秒)を現在も保持するポーラ・ラドクリフ(イギリス)は、自伝内に記されている通り、アイスバスを行っていることで知られています。
また、同じくイギリスのテニス選手であるアンディ・マリーは、2016年のウィンブルドンで優勝した後、アイスバスに浸かりながらトロフィーを持った写真をインスタグラムに投稿したことがあります。
自分に合うか試してみるのもいい
前述の通り、現状では「アイスバスは必ず効果がある」と科学的に証明されたとは言いきれない状況です。あるいは、心理的効果という可能性もあるでしょう。
それでも紹介した注意事項を守る限り、積極的な効果はないにしても、健康面に悪影響を及ぼすことはないはずです。
激しい運動を日常的に行う人は、一度試してみてはいかがでしょうか。
[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani
<Text & Photo:角谷剛>