
カフェインは筋トレ効果を高めるのか。何分前にどれくらいの量?飲むタイミングは運動前後どっち?[管理栄養士監修] (2/3)
カフェインが含まれる食品とその含有量をチェック!
カフェインはコーヒー豆、茶葉、カカオ豆、ガラナなどに天然に含まれている食品成分のひとつです。多く含まれる食品の代表は、やはりコーヒーとお茶でしょう。
そのほかにもコーラ、チョコレート、眠気覚ましのチューイングガムなどの食べ物が挙げられます。
●食品中のカフェイン濃度
(2019年における日本食品標準成分表2015年度版(七訂)のデータ更新 より作成)
エナジードリンク類は缶や瓶で購入することが多いと思いますが、成分表示は100mlあたりで表記されていることが多いので、1本(1瓶)あたりどれくらいの量が含まれているのかを確認しておく必要があります。
一覧を見ると玉露のカフェイン濃度の高さが際立ちます。しかし、実際に淹れるときに使用する茶葉は1人分ティースプーン1杯(2g)、お湯の量は50ml程度ですので、1杯あたりのカフェインは表の約1/5ほどになります。
高級な玉露は煎茶のようにガブガブと飲むものではないので、問題ないと思われます。
コーラやチョコレートにもカフェインは含まれている
ちなみに「コカ・コーラ」に含まれるカフェイン量は10mg/100mlで、レギュラーコーヒー(浸出液)の約1/6ほど(ただし飲む量によってはコーヒーと同等程度かそれ以上になる場合もあります)。
また、チョコレートは含まれるカカオマスの量によって異なり、ミルクチョコレート50g(板チョコ1枚ぐらい)で15mgのカフェインがあり、カカオマスの多いハイカカオチョコレートではカフェインの量も増えます。
カフェインの1日の摂取量の目安は?
カフェインの摂取に関しては、国際機関などにおいて注意喚起がなされています。以下、詳細をまとめたリストです。
●海外の専門機関による主なリスク評価
(食品安全委員会ファクトシートより転載)
※注1 乳児に健康リスクは生じない
※注2 1回あたり摂取量約3mg/㎏体重以下(例:体重70㎏の成人で約200mg以下)であれば急性毒性の懸念は生じない
管理栄養士の深野裕子さんはこう注意します。
「カフェインの感受性には個人差が大きく、健康におよぼす量を正確に評価することができないことが理由となり、日本では1日の摂取許容量の設定がなされていません。とはいえ上限がないわけではなく、1日のカフェイン摂取量は300mg/日(5mg/・体重)にとどめるべきとする報告(注1)もあるので、この辺を目安にしておくといいでしょう」
(注1:『日常生活の中におけるカフェイン摂取 -作用機序と安全性評価- 』栗原 久 東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号 (Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3))
摂りすぎに注意!カフェイン中毒の症状
眠気覚ましなどの効果があるカフェインですが、その感受性は個人差が大きく、人によっては気分が悪くなることがあります。
カフェインに弱い人でなくても、過剰に摂取すると中神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などの健康被害をもたらす場合があるので注意が必要です。
しかも、日常的に多くのカフェインを摂っていると感受性が次第に低下し、カフェインを摂取しないと眠気や疲労感、集中できない状態になってしまうこともあります。すると、摂取量がどんどん増え、最後には中毒症状を引き起こす量まで増加。これがカフェイン依存症です。
健康のことを考えた、効果的なカフェインの摂り方
トレーニングだけでなく、日常生活の中でも健康的にカフェインを摂取する注意点を再度まとめておきましょう。
●個人差がある感受性に注意
感受性の高い人が多量に摂取した場合、交感神経活動が亢進(こうしん)し過ぎたり、心臓等の循環系に大きな負担がかかる場合があります。
過度に怖がる必要はありませんが、自分のカラダに合うか合わないかは、自分自身で見極めていく必要があります。
●過剰摂取に注意
カフェインを過剰に摂取した場合、めまい、興奮、不眠症、吐き気などの健康被害をもたらすことがあります。食品の組み合わせで知らないうちに多量のカフェインを摂取してしまうこともあるため、注意しなくてはなりません。
とくにエナジードリンクやサプリメントは、コーヒーなどの飲料と比較してより多くのカフェインを含んでいます。
さらに、缶入りの飲料は飲み切らなくてはならないので、思っている以上に摂取してしまいがち。眠気覚ましでエナジードリンクを立て続けに何本も飲むのはNGです!
●摂取のタイミングに注意
カフェインを多く含む飲み物とともに摂取した場合、吸収を阻害してしまう栄養素があるので注意が必要です。
たとえば、コーヒーや緑茶、紅茶、ウーロン茶などにはタンニンが含まれます。タンニン自体には抗酸化作用がありますが、一方で鉄や亜鉛などの吸収を抑えてしまいます。
さらにカフェインの利尿作用により、鉄や亜鉛の吸収を助けてくれる水溶性のビタミン=ビタミンCも、余計な水分とともに排出されてしまいます。
貧血が気になる人や、カラダをしっかりつくりたい、筋肉をつけたい人は、食事とともにお茶を飲むのではなく、食事と食事の間のタイミングで楽しむのがおすすめです。
●摂取の時間帯に注意
カフェインには体内時計を動かす作用があります。体内時計とは脳と胃腸などの臓器に備わった機能で、1日の活動をコントロールしています。この体内時計が整うことで消化や吸収の力が高まり、カラダは本来の力を発揮しやすい状態となります。
つまり、健康を考え、カラダづくりをしたり、筋肉をつけたり、運動のパフォーマンスを高めたい場合には、体内時計が整っていることがマストなのです。
しかし、夜遅くまでの仕事、PCやスマホ、不規則な食事、ストレスなどが多い現代の生活では、体内時計は乱れやすい状況にあります。
体内時計をリセットするのにもっとも効果的なのは、毎日起きたら朝日を浴びることと朝食を摂ることですが、朝にカフェインを摂取すると体内時計を早めることができます。朝のコーヒータイムは実に理にかなっているわけです。
一方で、てしまうことがわかっています。夕方以降のコーヒーやお茶は体内時計を乱す原因にもなるので、避けるようにしましょう。
「カフェインにはさまざまな作用があり、上手に使えばとても役立つものです。食品はもちろん、サプリメントとして摂取する場合には、過剰摂取のリスク、個人によって感受性が異なる点をしっかり理解したうえで、まずは少量から試していくこと。自分の体質に合うのか? コンディションはどうか? といった点を自分自身で確認しながらとり入れていくことが大事です」(深野さん)
続いて、コーヒー豆知識です。