インタビュー
2018年4月24日

eスポーツとの親和性も高い。スポーツとテクノロジーの新しい融合「超人スポーツ」が目指す世界とは (1/3)

 最新のテクノロジーを使って能力を拡張した人間が競技するスポーツ。それが「超人スポーツ」です。

 弾力性のある透明な球体を上半身に、バネ付きの西洋竹馬を下半身に装着して激しく相手とぶつかり合う「バブルジャンパー」に、Goonというインホイールモーター(電気自動車の技術の1つ)の車に乗り時速15kmのスピードでぶつかり合う「ゴーンボール」など、従来のスポーツの概念とは大きく異なる14種のユニークな競技が存在します。

 最新のテクノロジーにより年齢や性別、体格差、障害の有無にかかわらず「誰もが超人になれるスポーツ」という構想はどのようにして誕生したのか? 超人スポーツ協会の共同代表を務める中村伊知哉さんにお話を伺いました。

「超人になりたい」という子どもの頃からの夢を実現

――超人スポーツの定義は「テクノロジーでスポーツを再発明」ということですが、超人スポーツ協会が設立された経緯を教えてください。なにか、従来のスポーツのあり方をテクノロジーの視点から見直してみる、というような大義があったのでしょうか?

まあ、堅く言うとそうなりますが、超人スポーツが生まれた直接のきっかけは、僕が超人になりたかったからなんです(笑)。僕は空手や野球をやっていたけど、イマイチ上達しなかった挫折組。いっしょに共同代表をやっている稲見(昌彦)もそれほどスポーツが得意じゃなかった。

▲超人スポーツ協会 共同代表の中村伊知哉氏

僕のまわりってスポーツの話をすると「『巨人の星』の大リーグボール投げたかったよね」みたいな話になりがちで。よく考えたら、それって今のテクノロジーなら実現できると思って、身近にいた研究者やデザイナーたちに声をかけ、2015年の6月2日に超人スポーツ協会を設立しました。

――昔からの夢を叶えたということですね。

日本の特徴は、マンガ・アニメ・ゲームの世界でたくさんの超人がいることなんですね。そういったポップカルチャーとテクノロジー、ポップ&テックの組み合わせで新しいスポーツを生み出そうという試みです。

競技のルールと安全性は常に改善していく

――超人スポーツの中で人気のある競技を教えてください。

まずはHADOですね。頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にはアームセンサーを装着して、手からエネルギーボール、要はかめはめ波のような光線を出して競うAR(拡張現実)競技です。

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▲HADOのプレイ風景(株式会社meleap)

あとは、超人スポーツのハッカソンで生まれたバブルジャンパー。半透明の球体で上半身を包み、足には西洋竹馬を装備して相撲を取ります。グーンボールはGoonという小型の乗り物に乗って時速15kmでぶつかり合う競技です。

▲激しく相手とぶつかり合うバブルジャンパー(TeamBJ)

▲こちらがグーンボールで使用するGoon(Goon開発チーム)

――時速15kmでの衝突とは、どのような体感なんでしょうか?

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