インタビュー
2018年5月1日

絶対勝てないけど刃牙や独歩と戦ってみたい。総合格闘家・堀口恭司『グラップラー刃牙』【私のバイブル #4(前編)】 (2/3)

やっぱり小さいときから空手をやっていたので、試合慣れしてるわけじゃないですけど、やっぱり平常心ですね。

― 堀口選手のお話を聞いていると、試合中も自分を客観視して戦っているように感じられてしまいます。

自分に対して客観的にいることがすごく大事なんだと思います。自分の動きも相手の動きも客観的に全体を見渡せば、いろんなものが見えてきます。たとえば、試合中に相手の予想外の動きというのは実はあまりないんです。相手の行動にはだいたい前振りがあって、体をこっちに振ったら次は蹴りがくるとか、こっちの腕が動いたらパンチとか。冷静にそれを見極めれば対処はできるんです。

― そういう情報はやはり試合前に映像を見ながらインプットするんですか?

試合前に見ることもありますけど、本番になったらぜんぜん違う動きをすることもありますからね。そうなったときに、そこにアジャストして自分の対応を変えていけるかどうかが大事なんです。イメージにとらわれすぎてもダメですね。

― 情報は必要だけど、想定外のことが起こったときのアドリブ力も大事になってくるということですね。そのための準備はどのようなことをしているのでしょうか?

特別に何かというよりも、いちばんは想定外の事態を減らすこと、つまり自分が知らない技や状況をできるだけ少なくして行くことじゃないかなと思ってます。僕は寝技とかの技術もあまり知らなかったし、それらを吸収して、サプライズ的な技をもらわないように、そういった知識、自分の幅を広げるためにアメリカに渡ったんです。

菩薩の拳やマッハ突きを試してっ!

― 堀口選手は『グラップラー刃牙』の中でどの登場人物が好きですか?

刃牙と愚地独歩ですね。独歩は空手道を極めるために毎日練習し続けて、そういうストイックな部分に共感できますし、同じ空手家として尊敬できますね。

― 独歩のエピソードでいうと、菩薩の拳がありましたが、あれは真似したりしませんでした?

もちろん試しましたよ。試してみて、「うーん、これは違うんじゃないかな?」と思いました(笑)。まあ流派の違いもありますし、僕が独歩の境地まで至ってないんだと思います。

― 空手でいうと、息子の愚地克巳だったり、紐切りの鎬昂昇という人物もいます。

2人ともなんか違ったんですよね。やっぱり僕の中では独歩なんですよ。でも、克己のマッハ突きも試しましたよ。ひととおりは試してるんですよ(笑)。刃牙のイメトレもそうです。さすがにカマキリとはやってないですけど、絶対瞬殺されるから(笑)。

― 瞬殺(笑)。ではカマキリ以外で、イメトレの相手として、人以外を設定したことはありますか? 例えば武井壮さんなんかはライオンと戦ってますけど。

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