ライフスタイル
2023年6月28日

システマとは。元ロシア軍特殊部隊将校が創設した格闘技「相手を倒すことよりも大事なのは、生き残ること」 (3/3)

自分が縛られているルールや思い込みを捨てる

続いては少々変わったメニューを実践します。それは、相手が持っているナイフに触れるだけというもの。

刃物に素手で触れるというと、真剣白刃取りのように手のひらを使って触れることをイメージしがちですが、肘や膝を使ってもいいし、肩や頭部を使ってもいいわけです。この思い込みやルールからの脱却が、システマの重要な教えの1つです。

終盤では、相手のナイフを自分の動きで絡め取る練習も行われました。ここでも、決められた動きでナイフに対処するのではなく、自分で考えた動きで対処していきます。

ナイフというストレスを前にして、いかに冷静に対処するか。システマのトレーニングとは、決められた型や動きを学ぶのではなく、ルールのない状況下でも自分で考え、動いていくことを訓練するものです。

この日は90分間、休憩なしでナイフを使ったトレーニングの時間となりました。

仕事や人生にも応用できるシステマの思想

もともと空手や古武術をやっていたという北川氏がシステマの公認インストラクターになったのは2008年。「システマには決まったルールもなく、必要以上の筋肉も負荷となるのでつけません。他のどんな格闘技にも似てない、それがシステマの特徴です」

システマを学んで8カ月というパウラ・ドウントさん。「システマのおもしろさは深くてシンプルなところです。身体のコンディションを整え、頭をヒーリングさせる、単なる格闘技ではない魅力があります」と、システマを学ぶ理由を語っていただきました。

「サバイブする」ことに主眼を置いたロシアの格闘技システマ。ルールに縛られず常に動き続けるという基本は、仕事や人生においても応用できるとも言えるでしょう。単なる「格闘技」の枠ではくくれないシステマの奥深さがそこにあります。

関連記事:旧ソ連が開発した自己防衛術!ロシアの国技「サンボ」とは

《参考サイト》
システマ東京ホームページ
https://www.systematokyo.com/

<Text:舩山貴之(H14)/Photo:杉山順平>

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