筋トレは「朝・夕方・夜」いつするのが効果的?ベストな時間帯とタイミング (2/2)
概日リズムを調整するには「朝起きる時間を早める」
概日リズムは24時間10分を周期に回っており、1ヵ月で5時間ぐらいのズレが発生します。
また明るさと暗さに影響されることから概日リズムは調整可能ということになり、起床と睡眠時間の操作である程度リセットすることができます。
したがって起床時間を早めて筋トレすることを習慣づければ、筋トレの効果的な時間帯もコントロールできるのではということです。
ジムは早朝が空いている
ちなみにハード面ではジムは朝の方が空いていて、夜の方が混雑する傾向にあります。自宅で筋トレの場合は問題ありませんが。
では、筋トレは食事の前と後、どちらのタイミングで行うのが最適なのでしょうか。
筋トレと食事のタイミング。いつ食べるのがいい?
筋トレは食事前がいいのか
筋トレ後30分から1時間半ぐらいまでを、筋肉のための「ゴールデンタイム」といいます。
とくに30分までがもっともタンパク質吸収には絶好のタイミングで、摂取したタンパク質のほとんどが筋肉を合成することに使われるのだとか(※)。
(※編集部注)最近では、筋トレ後のゴールデンタイムは気にしなくてもよいという説も(プロテインを飲むタイミング。運動後の「ゴールデンタイム」に飲まないとダメ?元ボディビルダーの大学教授に聞いてみた)。もちろん筋トレ直後に飲んでも問題はないようです。
ということは筋トレのタイミングは食事の前がベストということかというと、そうではないのだそう。食前では栄養不足状態での筋トレとなり、筋肉が分解されやすくなるから。
「空腹時の筋トレは、食事を摂っていた場合よりも筋のタンパク質の分解が進むため、筋肥大のためには空腹を避けた筋トレが有効と考えられます」(鴻﨑さん)
食事直後、満腹時もNG
ならば食事のすぐ後がよいのかというと、それも不正解。食後の筋トレは活発化した消化活動を阻害するため消化不良などが起こりやすく、吐き気が起こる場合も。
また、満腹になると、リラックスさせる副交感神経が優位になるため、カラダは筋トレに不向きな状態となります。
「一方で、中程度の運動をしてから食事をするほうが、運動せずに食事するより食後の血糖値が抑制されるといった報告もあります。したがって筋肥大を目的とした筋トレには、筋のタンパク質分解が進む空腹時よりは満腹にならない程度の軽い食事を摂った後がよいと思われます。普通に食事を摂った後なら、消化活動が落ちつく2~3時間ほど経過したタイミングがいいでしょう」(鴻﨑さん)
筋トレは「空腹でも満腹でもないタイミング」で行うのがよい
筋トレと食事の関係は、カラダにしっかりエネルギーが補給されている空腹でも満腹でもないタイミングに筋トレをするというのが正解のようです。
ちなみに筋肉のためのゴールデンタイムでは、タンパク質の摂取のみを目的にプロテインをはじめ、ゆで卵やチーズなどを食べる程度にとどめ、効率よく筋肉の材料をチャージするのがオススメです。
続いて、筋トレにかける最適な時間を探っていきます。時間のない現代人は、1回のトレーニングにどれくらいの時間をかけるとよいのでしょうか。
筋トレに掛ける時間はどのくらい? 1回何分が目安なのか
筋トレにかける最適な時間は、個人差や経験、目指すボディなどによって違いがあるので、一概にはいえません。
しかしあまり短くても、反対に長すぎても期待する効果が得られるとは限らず、30分~1時間ぐらいとするのが目安にはなるでしょう。
あくまでも自分のペースで集中して筋トレすることが継続するコツかもしれません。
「筋トレにかける時間については、筋肥大や筋力向上を目的とした高強度(高重量、底回数)な筋トレであれば短時間、筋持久力を目的とした低強度(低重量、高回数)な筋トレであれば実施時間は長くなるのが一般的ですね」(鴻﨑さん)
注意点としては、やはりこれもあくまで目安とのこと。
ゼロの状態からプラスへ持っていくのか、現状維持を目的とするのかによって筋トレの方法や時間が変わるように、筋トレにかける時間よりも自分の到達目標に合った適切なトレーニング方法を選択して最適な時間を決定することが重要だとも。
筋トレにインターバル(休憩)は必要なのか
インターバル(休憩)をとったほうが筋トレ効果は高まる
最後に筋トレ中の休憩ですが、休憩をとらずに筋トレを続けるよりは、筋トレ中に休憩をとったほうがいいとのこと。
「1種の筋トレを3セットするときのセット間休憩(1セット目と2セット目、2セット目と3セット目の間の休憩時間)の場合、休憩時間が長いほど(長くて5分程度)筋肥大や筋力向上に有効であり、短い(1分程度)ほうが筋持久力向上に有効であると考えられています」(鴻﨑さん)
休憩をとらずにひたすら筋トレメニューを繰り返していてはすぐに疲労し、最小限のトレーニング効果しか得られない可能性があるとも。
しかも、こんなおそろしいことを引き起こしかねない。
「適切な効果が得られないばかりでなく、トレーニング器具の落下事故、あるいは筋温や全身体温の異常な上昇を引き起こす可能性も考えられます」(鴻﨑さん)
自分のカラダのリズムに合わせて、適度な時間で適切に休憩を挟むのが効果的な筋トレといえそうです。
監修者プロフィール
鴻﨑香里奈(こうざき・かりな)
体育科学博士。日本体育大学体育研究所助教授。専門分野は分子運動生理学、運動生化学、スポーツ医学。柔道整復師、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)
<Text:京澤洋子(アート・サプライ)>