高カカオ(ハイカカオ)チョコのダイエット効果とは。痩せる食べ方・太る食べ方[管理栄養士監修]
高カカオチョコレート(ハイカカオチョコレート)の効果を、管理栄養士さん監修のもと徹底解説! 「ダイエットに良い」「1日何個食べればいい?」「デメリットは?」などという疑問を解消します。
食べるタイミングや、高カカオチョコレートと普通のチョコレートとの違いなどもご紹介します。
高カカオ(ハイカカオ)チョコレートとは
高カカオチョコレートの効果を解説する前に、高カカオチョコレートについて簡単に説明します。
高カカオチョコレートとは、カカオ分を70%以上含むチョコレートのことを指します。砂糖やミルクなどの配合量を減らしてカカオの含有率を上げている分、主原料のカカオ特有の味わいが強く、甘さがかなり抑えられているのが大きな特徴です。
高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの効果
チョコレートの栄養価は高く、近年では健康効果の実証研究も行われ、その栄養機能と健康維持に役立つ能力から「Medi-food」と呼称する研究者もいるほどです。
チャーハン管理栄養士として多くのメディアで活躍ている管理栄養士の佐藤樹里さんに、高カカオチョコレートの効果を解説していただきます。
効果1 抗酸化作用
チョコレートの原料であるカカオには、良質なポリフェノール(カカオポリフェノール)がたっぷり含まれ、カカオ豆の乾燥重量の約10%も占めています。これはポリフェノールを含む食品の中でもダントツ。
このカカオに含まれるポリフェノールの抗酸化作用によって、以下などの働きが期待できます。
- 老化の原因物質「活性酸素」の働きを抑える
- 血圧を調整する
- 悪玉コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する
効果2 リラックス作用
カカオには「テオブロミン」という苦味成分が含まれており、セロトニンの働きを助け、気持ちを落ち着きリラックスさせる効果も期待できると言われています。
テオブロミンは、カカオの学名であるテオブロマ(ギリシャ語で「神様の食べ物」の意味)に由来し、自然界ではほぼカカオのみに含まれる成分で、大脳皮質に作用して集中力を高め、自律神経を調整します。
さらに中枢神経を穏やかに刺激して血行を促進し、認知機能や記憶力の向上やストレスを緩和する働きをします。
カカオを原料とするココアにも同じ効果はあるのか
ココアパウダーでも同様のメリットは得られます。ただし、無糖のピュアココアを選ぶようにしましょう。
甘いココアは、カラダの中からじんわり広がって幸せ気分にしてくれますよね。砂糖の入れすぎには注意して、ほろ苦さを楽しむのもいいかもしれませんね!
高カカオチョコレートにダイエット効果はあるのか
高カカオチョコレートはダイエットに有効
前述したとおり、血液中のコレステロール値を正常化する作用によって基礎代謝アップが期待でき、基礎代謝を高めてエネルギー消費されやすくなることで、ダイエットに有効に働きます。
カカオポリフェノールには、食物繊維も豊富です。食物繊維は、腸内環境を整えて便通を促す作用があり、ダイエットの大敵である便秘を改善してくれます。
ちなみに……トレーニング効果も
筋トレやランニングなどのトレーニングへの効果としては、カカオポリフェノールの抗酸化作用の活性酸素除去により疲労回復が期待できます。高カカオ(ハイカカオ)チョコレートにはカフェインも含まれているので、運動時の集中力アップにも役立ちます。
高カカオチョコレートはいつ食べればいい? おすすめの食べるタイミング
食べるタイミングとしては、一度に食べるのではなく、午前中の間食に、午後の間食になどと、分けて食べることをおすすめします。
ダイエット効果を期待するのであれば、食事の30分ほど前に食べるのが良いでしょう。食後血糖値の上昇を防ぐ「ベジファースト」と同じ効果が期待できると考えられます。
高カカオチョコレートは1日何個まで?
1日200kcalまで(約8~9枚)が目安
まずは嗜好品として、食事バランスガイドを参考に1日200kcal程度の量になるようにしましょう。
チョコレートの種類により多少異なりますが、たとえばロッテの『カカオの恵み72%』であれば1枚(標準4g)あたり24kcalなので、約8~9枚となります。
注意! 高カカオ(ハイカカオ)チョコレートのデメリット
高カカオ(ハイカカオ)チョコレートのいいことばかりを紹介してきましたが、デメリットももちろんあります。
適量の摂取であれば、健康・美容・ダイエットなどさまざまな効果が期待できますが、食べ過ぎには要注意です。高カカオ(ハイカカオ)チョコレートは、低GI食品ですが、脂質やカロリーも低いという訳ではありません。
むしろ、一般的なチョコレートに比べると、脂質・カロリーともに高いのがデメリットです。
なので、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの食べ過ぎは、脂質やカロリーを取り過ぎてしまうおそれがあります。
うれしい効果がいっぱいでも、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートはサプリメントではありません。“おやつ”として楽しみながら食べたいものですね。
おすすめの市販の高カカオチョコレート3選
スーパーやコンビニで手軽に買えるおすすめの高カカオ(ハイカカオ)チョコレートを佐藤さんに3つ選んでいただきました。
明治チョコレート効果カカオ72%
コンビニやスーパーで手軽に手に入り、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートが初めての方にも食べやすいです。
森永カレドショコラカカオ70%
こちらもコンビニやスーパーで手に入りやすいです。雑味がなく初めての方でも食べやすい味。
ヴィヴァーニ オーガニックダークチョコレート75% 80g
成城石井やカルディで購入できます。原材料が有機カカオマス、有機ココナッツシュガー、有機カカオバターと、とってもシンプルです。
砂糖も白砂糖ではなく、ココナッツシュガーを使用しているのがポイント。コクがありスッキリとした味わいです。
高カカオチョコレート、普通のチョコレートと何が違う?
一般的なチョコレートと高カカオ(ハイカカオ)チョコレートとでは、原料となるカカオの含まれる量が違い、ミルクチョコレートなど一般的なチョコレートのカカオ含有率は20~40%程度で、砂糖やミルクなどを配合して甘さを出しています。
しかし、日本チョコレート・ココア協会によると、実は高カカオやハイカカオの表示に定義はなく、ミルクが入らないカカオ分が40~60%ぐらいのチョコレートは「ビター」「ブラック」「スイート」「プレーン」などと呼ばれ、それ以上高くなると高カカオ、ハイカカオなどと呼ばれるとのこと。
ちなみに「ダークチョコレート」というのは、日本独自の呼び名です。
◎カカオ含有率20~40%程度
いわゆる一般的なチョコレートで、主原料のカカオに砂糖とミルクを加えた甘くてまろやかな風味のミルクチョコなど。お砂糖なしの紅茶やコーヒーと一緒に
◎カカオ含有率40~60%程度
砂糖と少量のミルク、またはミルクを使わずに甘さを抑えたチョコレートで、カカオの香りと風味を感じるビター、ブラック、スイート、ダークチョコなど
◎カカオ含有率60~79%程度
ほろ苦さの中に、まだ甘さを感じることができるカカオの風味が強めのチョコレートで、70%を超えると高カカオ、ハイカカオチョコとされる
◎カカオ含有率80~89%程度
カカオの苦みをダイレクトが感じられ、甘みはかなり少ない。ウイスキーなどのお酒と一緒に楽しむのもアリ
◎カカオ含有率90~100%
甘みを感じず、カカオの醍醐味を味わえる高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの真髄。チョコは好きでも、苦みが苦手という人には不向き
おまけ:カフェインのおはなし
そして最後に、カフェインについてのおはなし。
チョコレートにはコーヒーと同じく、眠気を覚ますカフェインが含まれています。ドリップコーヒー100mLあたり60mgのカフェイン量に対し、高カカオ(ハイカカオ)チョコレート100gあたり70~120mg(一般的なチョコレートでは25~35mg)も含みます(※1)
(※1)厚生労働省「高カカオを謳ったチョコレート」調査より
こう見ると、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートのカフェイン量は多いように見えます。しかし、コーヒーはカップ1杯飲みますが、チョコレートを一度に100g(一般的な板チョコレートで約50g程度)も食べることはなく、せいぜい1かけ(約2~40g)です。
しかしその逆に、カカオには安眠を助けるGABA(γ-アミノ酪酸)やマグネシウムを豊富に含み、寝る前のチョコレートで安眠効果が高まるといわれています(※2)
(※2)江崎グリコ「睡眠実態とナイトチョコレートに関する調査」
監修者プロフィール
佐藤樹里(さとう・じゅり)
管理栄養士。フィットネスクラブにて水泳インストラクター兼管理栄養士として勤務後、フィリピン留学を経てカナダ・バンクーバーへ渡航。帰国後はアスリート向けの食堂と老人ホーム厨房でのWワークを経てスポーツ栄養系健康会社に転職。その後、「アスドリファクトリー」代表として独立。好きな食べ物:チャーハン。趣味:チャーハンめぐり・筋トレ。日本一チャーハンを愛する管理栄養士としても人気で、TV、ラジオなどのメディア出演多数。2021年7月、チャーハン愛の詰まったレシピ本『うちで作るチャーハンがウマい!』(池田書店)を上梓。
【公式Twitter】 https://twitter.com/jurijapan1
<Text&Edit:京澤洋子(アート・サプライ)>