ウェルネスフード
2023年10月18日

クレアチンとは。効果と飲み方、飲むタイミング、1日の摂取量 (1/2)

 瞬発力やパワー、スピードなどを重視する短時間高強度のスポーツのエネルギー源となるクレアチン。もともと体内に存在し、ほとんどが筋肉に貯蔵され、その体内貯蔵量の増加が運動パフォーマンスに寄与するとし、プロスポーツ選手やアスリートにも注目される栄養素です。

 では、クレアチンという栄養素は、日々トレーニングに励む筋トレ民にはどんな効果が期待できるのでしょうか? また、サプリメントを活用した「クレアチンローディング」とは。

 管理栄養士で、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナーの河村玲子さんに伺いました。

筋トレ民におすすめの栄養素「クレアチン」とは

 クレアチンとはアミノ酸の一種で、平均的な成人のカラダの中には80~130gほど存在し、その約95%がリン酸と結合したクレアチンリン酸として骨格筋に蓄えられています。

 クレアチンリン酸は、筋収縮に必要なエネルギーのATP(アデノシン三リン酸)の再生に使われます。つまり、体内に十分なクレアチンが蓄積されていれば、無酸素運動など強度の高いトレーニング時にも素早くエネルギーを作り出すようにサポートしてくれるのです。

 また、運動中に生じる水素イオンや乳酸などの酸性物質を緩衝したり合成しにくくしたりすることで、疲労の原因ともなる筋肉が酸性に傾くことを防ぎます。さらにヒトのカラダにとって大切な水分を筋肉中に貯留する役割も果たします。

 筋肉に蓄積され、筋収縮に必要なエネルギーの再生をサポートするとは、クレアチンはまさに筋トレ民のための栄養素ともいえますね。

クレアチンの作用と期待できる効果

 プロスポーツ選手やアスリートが注目し、運動パフォーマンス向上のエビデンスレベルが高いクレアチン。筋トレ民が期待できる効果とは?

パフォーマンスの向上

「たとえばタバタプロトコル(※)を利用した運動だったり、高負荷での筋力トレーニングなどの高強度の運動、とくに短時間で激しい動きを繰り返すような運動でのパフォーマンス向上が期待できます」(河村さん)

 クレアチン自体が筋肉を増やすわけではありませんが、クレアチンがトレーニング中のエネルギー補給を円滑にすることで、ハードな筋力トレーニングを可能にします。これを積み重ねることで、結果的に筋肉量の増加、筋肥大が起こります。

筋肉疲労の緩和や回復力の向上

 さらに「運動中の筋肉疲労の緩和や回復力の向上が期待できるのも、筋トレ民が注目したいクレアチン効果のポイントです」と河村さん。また、「ランニングなどの有酸素運動能力向上の効果はないようです」ともつけ加えてくださいました。

(※)タバタプロトコル … 立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が発表した論文が元になったトレーニング法。

こちらもおすすめ:「キツイが瘦せるHIIT「タバタ式トレーニング」を解説。どんなルール?おすすめの種目は?」

刺身がおすすめ! 生肉や生魚に多く含まれるクレアチン

 クレアチンの消費量は1日に2g程度で、毎日の食事で摂取することができます。クレアチンを多く含む牛肉や豚肉、魚中心のバランスの取れた食事から必要量の半分程度を摂取し、残りは体内で生成します。

 しかし、牛肉や豚肉のクレアチン含有量は1kgあたりで4~5g、魚類ではとくにクレアチンを多く含むニシンでも1kgあたり6.5~10g、サケやマグロ、タラで1kgあたり3~4.5gほど。さらに、クレアチンは熱に弱く加熱により減少するため実質60~80%に。

 食品に含まれるクレアチンを減らすことなくまるまる摂取するためには、刺身など生で食べることがクレアチンをより多く摂取する方法です。

次ページ:サプリメントを利用して効率的に摂取

1 2