スクワットをすると腰が痛い!なぜ腰にくる?原因と対処法[重症膝痛専門整体師監修]
「スクワットをするとなぜか腰が痛くなる」と悩んでいませんか?
間違ったやり方でスクワットを行っていると、腰の負担が大きくなり、腰痛の原因になることも。腰を痛めた~なんて事態を防ぐには、正しい姿勢とやり方を身につけなければなりません。
本記事では、腰痛になりにくいスクワットのやり方を、重症膝痛専門整体師が解説します。スクワットで腰にくる原因をはじめ、腰に負担の少ないスクワットの正しいフォーム、注意点などもレクチャーしていきます。
<このページの内容>
スクワットで腰を痛める原因
スクワットで腰を痛める原因は、以下が考えられます。
- 体幹(お腹まわりの筋肉)・股関節・お尻の筋力が弱い
- 腰に負担がかかるフォームで行っている
くわしく見ていきましょう。
体幹・筋力が弱い
体幹の筋力が弱いと、スクワットで腰を痛めやすくなります。なぜなら、スクワットの動作が安定せず、腰椎(腰の骨)に大きな負担がかかるからです。
腰椎はもともと軽く前に反るようにカーブしています。
そこからたとえばバーベルを担いでスクワットを行うと、重さに耐えるために、腰椎はさらに前に傾き、反りが大きくなります。
このとき、体幹がしっかりと安定していれば、腰椎への負担は軽減されますが、体幹が不安定だと、腰椎に過剰な負荷がかかり、腰を痛めやすくなるのです。
スクワットを安全に行うには、体幹の筋力強化は欠かせません。
●スクワットは初心者向けの筋トレだが、正しいフォームと動作は意外と難しい
また、そもそも全身の基礎的な筋力が備わっていないと、安定したフォームでスクワットを行うのが難しく、腰の負担も大きくなってしまいます。
スクワットは、全身の筋肉が連携して一連の動作が行われる種目です。そのため、下半身の筋力はもちろん、背中や肩などの筋力強化も必要となります。
前傾姿勢になっている
しゃがむときに前傾姿勢になるのは自然な動作です。しかし、スクワットでしゃがむときに必要以上に前傾してしまうと、腰を痛めやすくなります。
なぜなら、負荷のほとんどを腰で支えなければならなくなり、腰の負担が大きくなってしまうからです。
前傾しすぎてしまう主な原因は2つ。
- 体幹の筋力が弱い
- 股関節が動きにくい
スクワットを行う際は、前傾姿勢が深くなりすぎないよう注意してください。とくに股関節が動きにくい場合には、ストレッチの併用が必要です。
つま先より前に膝が出ている
上半身をまっすぐにしたままスクワットを行うと、しゃがんだときに、つま先より前に膝が出てしまいます。
すると、膝にストレスが加わり痛めやすくなります。
そもそも上半身をまっすぐに立てたまましゃがむのは不自然な動作です。そのため、腰も不安定な状態となり、腰痛の原因となってしまうのです。
腰に負担をかけずにしゃがむには、上半身をやや前傾させて、股関節から体を曲げるようにし、つま先より前に膝が出ないように注意しましょう。
スクワットをすると腰が痛くなるのは、腰に負担がかかりすぎるフォームで行っているから。正しいフォームで行えば、腰の負担を軽減させながら、全身の筋力アップを目指すことができます。
ここからは、スクワットの正しいフォームを解説します。
一連の動作を、(1) スタート姿勢の作り方 (2) しゃがみ方 (3) 立ち上がり方のパートに分けて解説していきますので、正しいフォームの習得にお役立てください。
まずは正しいスクワットの姿勢から!
スタート姿勢がうまく作れないまま動作を始めてしまうと、体幹が安定せず、腰に大きな負担がかかってしまいます。
スタート姿勢を作る手順は以下の通りです。
スタート姿勢の作り方(自重で行う場合)
1.足を肩幅よりやや広めに開いて立つ
2.左右のつま先はやや外側を向けておく
3.両手を頭の後ろで組み、肘を広げる
4.胸を張り、背筋を伸ばす
5.目線はまっすぐ前に向ける
スタート姿勢の作り方(バーベル使用の場合)
- バーの真下に体を潜り込ませ、担ぎやすい位置にバーを当てる
- バーを体に当てたら、腹筋に力を入れる
- 腹筋に力を入れたままラックからバーを外す
- 足を肩幅よりやや広めに開き、胸を張って直立する
- 左右のつま先はやや外側を向けておく
- 目線はまっすぐ前に向ける
- 背中は反ったり丸めたりせずまっすぐにしておく
次に動作! スクワットは「しゃがみ方」が重要
腰への負担を軽減させながらしゃがむには、以下の手順で進めていきます。
腰を痛めないしゃがみ方
- 直立した状態から、お尻を後ろに引きながら上体をやや前傾させる
- 同時に、息を吸いながら膝を曲げ、太ももが床と平行になるくらいまで、3秒程度かけてゆっくりとしゃがんでいく
そのとき、体勢もチェックしましょう。
腰を痛めない体勢チェック
- 正面を向いて胸を張り、背中を丸めない
- つま先と同じ方向に膝を向ける
- かかとを浮かさないようにし、重心を足裏全体にかかるようにする(つま先重心や踵重心になりすぎない)
腰を痛めないスクワットの立ち上がり方
腰に負担をかけずに立ち上がるには、前傾姿勢からの上体の起こしがポイントです。立ち上がったときに前傾姿勢のままだと、腰の負担が大きくなってしまいます。
立ち上がり方の手順
1.しゃがんだ位置から、息を吐きながら立ち上がる
2.最初は前傾姿勢のまま立ち上がり、途中から上体を起こしていく
3.立ち上がるときは、自然なスピードで立ち上がる
しゃがんだらすぐに切り返して立ち上がります。しゃがんだ状態をキープしてしまうと、膝、腰の負担が大きくなるので注意しましょう。
腰痛を防ぐ! スクワットを行う前の注意点
スクワットで効果を得るには、正しいフォームの習得はもちろんですが、運動前のストレッチや適切な負荷設定なども大切です。
スクワットを行う前にストレッチをする
スクワットを行う前に腰のストレッチをしておくと、腰痛の予防効果が期待できます。腰まわりの筋肉を動きやすくしておけば、運動中に腰が受ける衝撃が分散され、腰の負担を減らせるからです。
ここでは、立って腰を反らす簡単な動的ストレッチのやり方を紹介します。筋肉をほぐす効果と温める効果が期待できます。
立って腰を反らすストレッチ
1.足を肩幅より少し広めに開いて立つ
2.両手を腰の下の方(お尻の上あたり)に当て、息を吐きながら手で腰を前へ押す。あごを引き、膝はできるだけ伸ばしておく
3.腰を反らせた状態を2~3秒間キープする
4.息を吸いながらゆっくり戻す
3~5回繰り返します。
痛みが少しでもある時は無理をしない
腰に痛みが少しでもあるときは無理をしてはいけません。スクワットは正しいフォームで動作を行わないと腰椎に負荷がかかる運動なので、腰痛が悪化する可能性があるのです。
もし、腰痛時に運動をしたいのであれば、腰に負担の少ない姿勢で行える運動をしましょう。たとえば、仰向けまたはうつ伏せに寝た姿勢で行える運動がおすすめです。
背中を丸めない
背中が丸まった状態でスクワットを行うと、腰を痛めやすくなります。背中や肩などの支持筋が働かなくなり、結果的に腰の負担が大きくなってしまうからです。
バーベルを支えるのは下半身だけでなく、背中や肩の筋肉が「支持筋」として運動に参加します。支持筋はスクワットのフォームを安定させるうえで非常に重要です。
スクワットを行う際は背中を適度に反らし、背中や肩の支持筋がしっかり働くようにしましょう。
腰を反らしすぎない
スクワットでは、適度に腰を反らすと負荷を受け止めやすくなり、腰の負担を減らせます。
しかし、反らしすぎてしまうと腰が必要以上に緊張して、かえって負担が大きくなってしまう可能性があるのです。
また、反り腰の原因にもなりやすいので注意してください。
無理のない重量、回数、頻度で行う
スクワットによる腰痛を防ぐには、無理のない重量、回数で行いましょう。重量が重すぎたり回数が多すぎたりすると、途中で正しいフォームを維持できなくなり、腰への負担が大きくなります。
正しいフォームで10〜15回できる重量を目安にしましょう。バーベルを担がずに、自重のみで行ってもOKです。
セット数は2〜3セット、頻度は週2日を目安にしてください。
- 重量:正しいフォームで10〜15回できる重さ
- 回数:10〜15回
- セット数:2〜3セット
- 頻度:週2日
スクワットを正しく行い、腰痛を防ごう
スクワットは、全身の筋力アップや足腰の強化、健康維持に有効な運動です。
しかし、腰に負担がかかる種目でもあるため、正しいフォームを身につけ、腰の負担を最小限に抑えなければなりません。体幹や支持筋を強化し、腰や股関節をしっかりサポートする必要もあります。
本記事が、腰痛を防ぐ正しいスクワットの道しるべとなることを願っています。
監修者プロフィール
重症膝痛専門整体師
豊田 啓太
大阪重症膝痛専門整体院を経営。どこに行っても何を試しても改善しない重症な膝痛を改善させる最後の砦として数々の実績を出している。現在は整体院経営だけでなく全国の膝痛で苦しんでいる方を救いたいという思いで治療家、整体師、トレーナーなどの育成をする技術セミナーも開催。
・大阪重症膝痛専門整体院ひなた公式ホームページ https://itamikaizen0312.com/
・重症膝痛最後の砦TV(YouTube) https://x.gd/Y2InA
<Edit:編集部>