水泳ダイエットの効果とは。痩せるメニューは?週何回やればいい?
「水泳はダイエットメニューとして効果的」とよく言われますが、その詳しい理由をご存じでしょうか。実は水泳には、他の運動にはないメリットがたくさんあるのです。
本記事では、水泳がダイエットによい理由を詳しく解説します。効果的な泳ぎ方や注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
解説は、薬剤師/ヨガインストラクターの碇 純子さんです。
<このページの内容>
水泳はダイエットにおすすめ!4つの理由を解説
まずは、水泳がダイエットにおすすめである理由を4つ紹介します。
体への負担が少なく、ラクに行える
水泳は、陸上での運動に比べてからだへの負担を軽減できます。水中では浮力のおかげで、体重の約10分の1の重さしか感じないためです。
たとえば、50kgの人なら5kg、70kgの人でもたったの7kgにしかなりません。体が重くて動かしにくい人でも、水中ならラクに運動できるのです。
関節への負担を減らしながら体を動かせるため、関節痛で悩んでいる方でも、無理なくダイエットできます。
陸の上での運動よりも、カロリー消費量が多い
水泳のカロリー消費量は多く、ウォーキングの約2倍になります。たとえば、体重50kgの人が水泳やウォーキングを1時間行った場合、消費カロリーは以下の通りです。(※1)
・ウォーキング(時速3.2km/ゆっくり) : 147kcal
・水泳(クロール/ゆっくり) : 304.5kcal
水中ではからだに水圧がかかるため、陸の上での運動に比べて、短時間で多くのカロリーを消費できます。
心肺機能の向上につながり、体力アップが期待できる
水泳は、心臓や肺、血管の働きをよくし、心肺機能を高める運動としても効果的です。
心肺機能を高めるには、少しきついと感じる運動を、長時間続ける必要があります。
一般的には、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量の、40%以上の酸素を確保しながら続ける運動が効果的とされています。
この条件にあてはまるのが、水泳やジョギング、サイクリングなどの有酸素運動です。
とくに水泳では、からだに水圧がかかった状態で動く必要があるため、より多くの酸素を取り込もうとして、心臓や肺が活発に働くようになります。
その結果、心肺機能の向上が期待でき、体力アップにつながるのです。
血行が促進され、デトックス効果が望める
水泳は、からだに水圧を受けながらする運動であるため、血行が促進されやすくなります。
筋肉・血管が水圧で圧迫されると血流が制限されるため、からだは血流をよくしようと働き、より多くの血液を心臓から送り出そうとするのです。
血流がよくなると、血管内にたまった余分な水分や脂肪、老廃物が排出されやすくなります。また、血流に乗って栄養素や酸素が全身に運搬されやすくなります。
ダイエットに効果的な泳ぎ方は?
脂肪を燃焼させるには、長時間泳ぐ必要があります。疲れやすい泳ぎ方はダイエットに向かないので、注意が必要です。
ここでは長い時間続けやすい、ダイエットにおすすめの水泳メニューを紹介します。
一番おすすめ!長い時間泳げる“クロール”
クロールは最も推進力があり、長い時間続けやすい泳法です。水泳でダイエットをするなら、クロールが一番おすすめです。
からだは水面と平行にする
クロールで長い時間泳ぐには、からだを真っすぐ伸ばして「からだと水面が平行」を意識しましょう。
頭を下げ、プールの底を見ながら泳ぐと、からだと水面が平行になりやすいです。水に浮きやすくなって抵抗も減るため、推進力がアップします。
力を抜いてリラックスする
からだに力が入ると、沈みやすくなります。余計な力を抜いて、リラックスして泳ぎましょう。
水中では、鼻から息を吐き続ける
顔が下を向いているときは、鼻から息を吐き続けてください。水中で息を吐き切れば、顔を上げたときにたくさん息を吸うことができます。
水中で息を止めてしまうと、すぐに苦しくなってしまうので注意しましょう。鼻から息を吐き続ければ、鼻に水が入るのも防げます。
体が浮きやすい“平泳ぎ”
平泳ぎは、初心者でも簡単に水に浮くことができる泳法です。クロールが苦手な方には、平泳ぎでのダイエットをおすすめします。
からだを伸ばす時間を長くする
平泳ぎは「手で水をかく→足裏で水を押す→からだを伸ばす」が基本の泳ぎ方です。長時間続けて泳ぐには、からだを水平にして、伸びる時間をしっかり作ることが大切です。
指先までしっかり伸ばして水をかく
水をかくときは、腕を前に出して指先までしっかり伸ばしてから、かくようにします。ただし、腕を広げすぎると抵抗が大きくなり、体力を消耗するので注意してください。
かかとお尻に引つけて、足の裏で水を押し出す
キックをするときは、かかとをお尻に引きつけ、足の裏でしっかり水を押しましょう。推進力が強まり、からだを伸ばす時間が長くなります。
吸う→止める→吐く、での呼吸がおすすめ
平泳ぎの呼吸は、以下の順番で行うとスムーズにできます。息継ぎで苦しくなるという方は、ぜひ試してみてください。
1.水をかきながら上体を起こし、口から息を吸う
2.息を止めてもぐる
3.キックした後、からだが浮いてきたタイミングで鼻から息を吐く
息つぎしやすい“背泳ぎ”
背泳ぎもダイエット効果がありますが、長時間泳ぐためにはいくつかのポイントがあります。
からだは水面と平行が理想
背泳ぎで長時間続けて泳ぐには、背中を真っすぐに伸ばして、からだを水面に対して水平に浮かせましょう。あごを上げてしまうと、足が沈みやすくなります。
あごを軽く引き、自分のおへそを見るような姿勢を保つことが大切です。また、お腹が下がらないように、おへそを水面ギリギリの位置でキープしましょう。
キックは軽めにする
キックは強く蹴ろうとせず、軽く蹴り上げるのがポイントです。
呼吸のときは、口から吸って鼻から吐く
呼吸は、口から吸って鼻から吐くようにしてください。顔にかかった水が鼻の中に入るのを防ぐため、必ず口から吸う必要があります。
ヘルパーを巻くのもおすすめ
背泳ぎは、基本の泳ぎ方を身につけないと推進力が得られず、からだが沈みやすい泳法です。うまく泳げない場合には、浮力を上げるヘルパーを腰に巻くとよいでしょう。
泳がなくてOK!初心者でも安心の“水中ウォーキング”
泳ぎが苦手な方には、水中ウォーキングがおすすめです。
背筋を伸ばす
やや前傾姿勢で、目線は前を見て歩きましょう。猫背にならないよう、背筋をピンと伸ばしてください。
足の裏全体を使う
つま先だけでなく、足の裏全体プールの底を蹴りましょう。腕を軽く曲げて前後に振りながら、できるだけ大股で歩いてください。ゆっくりでOKです。
泳ぎと組み合わせてもOK
「泳ぐ→歩く→泳ぐ」のように組み合わせて行うのも効果的。泳ぎ疲れた場合は、ぜひ水中ウォーキングもやってみてください。
水泳ダイエットのおすすめ頻度と、1回で泳ぐ時間は?
週3回、1回30分〜1時間がおすすめ
水泳ダイエットは、週3回、1回30分〜1時間を目安にしましょう。
水泳では水の抵抗を受けるため、筋肉に負荷がかかりやすいです。そのため、頻度が高すぎてしまうと、筋肉に疲労がたまる可能性があります。
1〜2日おきに週3回であれば、筋肉を回復させる時間が取れるので、無理なく続けられます。
また、水泳はカロリー消費量が多いため、長時間行うと運動後にドッと疲れが出て、からだがダルくなってしまう恐れがあります。
1回30分〜1時間を目安としたうえで、運動後の疲労感に合わせて調整してください。
安全に水泳ダイエットをするための、2つの注意点
水泳ダイエットを安全かつ効果的に行うために、気をつけたいポイントがあります。ここでは、特に意識しておくべき2点を解説していきます。
水泳前に必ずストレッチをする
ストレッチを行うと、筋肉や関節の可動域が広がり、からだを動かしやすくなります。また、ケガの予防効果も期待できます。
水泳前には、水中で行うストレッチがおすすめです。水の中では筋肉・関節がリラックスした状態となり、可動域がいつもより広がります。
プールサイドにつかまって太ももやアキレス腱を伸ばしたり、肩まで水に入って背中や肩を伸ばしたりすると効果的です。
ゆっくりじわじわ伸ばしつつ、気持ちいいと感じる範囲で行いましょう。
水分補給や休憩を適度に行う
水泳はカロリー消費量が多い運動です。泳いでいるとのどが渇きますし、からだも疲労しやすいです。そのため長時間の水泳では、適度な休憩と水分補給が必要です。
目安として、30分ごとに5分程度の休憩を取り、水分を補給しましょう。
ただし「のどが渇いた」と感じたら、時間を気にせず、すぐに休んで水分を補給してください。
水泳ダイエットの効果を高めるカギは、筋トレ&食事
水泳ダイエットの効果を高めるなら、バランスのとれた食事をとりつつ、水泳前に筋トレをするのがおすすめです。
泳ぐ前に筋トレをする
水泳ダイエットの効果を高めるには、筋トレを30分程度行った後、水泳を30分〜1時間行うメニューがおすすめ。そうすることで脂肪の燃焼効率が高まります。
脂肪は「分解→燃焼」のプロセスを経て消費されます。脂肪の分解は常時行われていますが、筋トレを行うと成長ホルモンの分泌が活発になり、脂肪の分解が促進されます。
そのため、筋トレの後に水泳を行った方が、脂肪を燃焼しやすくなります。体力に余裕がある場合は、無理のない範囲で筋トレをしてみてください。
バランスのよい食事を心がける
水泳ダイエットの効果を高めるには、食事の栄養バランスに注意し、高タンパク・低脂肪・適度な炭水化物を心がけましょう。
水泳は全身の筋肉が鍛えられるため、筋肉の原料であるタンパク質をしっかり摂る必要があります。
ただし、全体の食事量を増やさないためには、タンパク質の摂取量を増やす分、炭水化物・脂質の摂取量は抑える必要があります。
主食(米やパン)の量を減らしたり、揚げ物を控えたりするなど、カロリーオーバーにならないよう注意してください。
水泳ダイエットで、無理なく効果的に痩せよう
水泳は、無理なくカロリー消費量を増やせる運動であるため、ダイエットにおすすめです。また、心肺機能の向上や血行の促進、リラックス効果なども期待できます。
からだが重くて走るのが苦手な方でも、水中ではからだが軽くなり、無理なく運動できます。もちろん、泳がずに水中でウォーキングするだけでもOKです。
水泳ダイエットで楽しくからだを動かし、無理なく健康的に痩せましょう。
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監修・執筆者プロフィール
碇 純子
2022年RYT500(全米ヨガアライアンス認定)修了。漢方とヨガを組み合わせたプログラムを開発。
隙間時間にできる「チェアヨガ」を広めるなどの活動を行っている。
スマホで相談できるオンラインAI漢方「あんしん漢方」を通じて、症状緩和と根本改善をサポート。薬剤師兼ヨガインストラクターとして、健康情報を心身両面からのアプローチで発信中。
(※1)国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」を参考に算出
<Edit:編集部>