インタビュー
2017年11月24日

ギネス世界記録を次々ゲット。縄跳びに人生を賭けてハマった男のストーリー(前編) (2/4)

 とにかく自分は何かひとつ極めたいと思っている中で縄跳びに出会いました。いろんな跳び方と回し方があって、これは一生できるなと思った。それと子どもたちはやってるんですけど、大人でやってる人がほとんどいなかったので。マイナーな種目が好きなんですよね(笑)。

 縄跳びってサッカーや体操競技みたいにオリンピックスポーツとして発展しているものではなかったので、自分がどんどん開発していくことができるんですね。まだ未開発のものがたくさんあって、そこがやっぱり一番の魅力でした。

 それでやってるうちに子どもたちに教えたりするようになって。「えー、縄跳びムリだよー」って最初はちょっと暗い顔してた子が、ちょっと教えて上手くできるようになったときにものすごいキラッキラの目で「うぁ、できた!」って。できたと思ったとたん、1回しかできなかったことが一気に10回、20回できちゃったりするんですよ。

 自分の中で制限しちゃってできないって思い込んでいる子がたくさんいて、それを教え方を工夫してできるようにさせて、キラキラした目をまた見たいっていうのがすごく芽生えてきて。子どもたちとのやり取りで「ああ、この縄跳びっていうスポーツは本当にいいな」って。縄跳びは学校で必ずやるので、苦手でイヤな思いをしている子も多いんです。そういう子が「SADAさんのパフォーマンスを見て、縄跳びちょっと好きになったよ」とか感想文をくれるのがスゴくうれしくて。「これは本当にいいな」と。縄跳びは『できた・できない』がはっきりするスポーツで、少し残酷な面もあるんですけど、一生懸命練習して『できないワザができるようになったとき』の喜び・達成感は格別ですよ。

縄跳びはスポーツとしての素晴らしさも無限大!

--スポーツとして縄跳びを捉えた場合、いい点はどんなところにあるんでしょうか?

 たくさんありますよ。まずは遊び方の種類が豊富なところ。単(短)縄跳び・2人縄跳び・長縄跳び・ダブルダッチと、1人でも遊べるし,友だちや家族と一緒でも楽しめます。新しいワザや連続回数記録に挑戦したり、歌に合わせて回したり跳んだり。

 それから、運動能力の向上という点では、ひたすら跳んで持久力を鍛えるイメージが強いのですが、実はほかにもたくさんあるんです。

 2〜5歳くらいの子どもが初めて縄跳びを体験するときには、自分の身体を巧みに動かすためのコーディネーション能力が鍛えられます。ロープを蛇や波のように動かしているところを跳び越す長縄遊びではバランス能力、リズム能力、認知能力、反応能力などを高められますし、「ロープを自分で回して、そのロープを跳び越す」単(短)縄跳びだと、加えて操作能力も鍛えられます。普通、ジャンプするときって手は上に上げるのに、縄跳びはジャンプしたときに手を下にさげなければいけないでしょう。幼児にとって、縄跳びってとても複雑で難しい運動なんです。

 前跳びのような、基本的な跳び方ができるようになったら、そのあとはひたすら跳びますよね。なるべく連続で長い時間跳ぶ。10回跳べたら50回、100回って増やしていくことで、心肺機能が高まり、持久力や体幹、とくに下半身の筋肉が鍛えられます。それからいろいろなワザができるようになって、あや跳びや二重跳びをしたり、速く跳んだりすることで、上半身の筋肉も、敏捷性や瞬発力なんかも鍛えられます。もっとワザを変化させていくと、それこそ体操みたいなワザもあるんですよね、倒立しながら跳ぶとか。そこまでやるとすべての運動能力が鍛えられるという。

--なんとなく小学生の遊び的イメージが強い縄跳びですけど、スポーツとして考えるとかなり素晴らしいスポーツということになりますね。

 いろんなスポーツのウォーミングアップやトレーニングにもいいんですよ。フットワークやリズム感、持久力を鍛えるために、ボクシング選手が縄跳びをするのは有名ですよね。

 あまり知られていませんが、テニスや卓球、バドミントンのようなラケットスポーツにも向いていて、フェデラー選手や錦織選手も縄跳びトレーニングを取り入れています。縄跳びの前跳びはバックハンド、後ろ跳びはフォアハンドに通じ、手首のしなやかさや筋力を鍛える効果があります。

 長縄跳びをしながら、サッカーボールでヘディングしたり、バスケットボールをキャッチしたり、それぞれのスポーツの動作を組み合わせれば、豊富なトレーニングを創りだせます。グリップやロープの重さを変えることで負荷を増やすこともできます。

--これから何か運動をはじめたい方に縄跳びはおすすめでしょうか。走るほど苦しくはないような気がしますし……。

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